2007年1月17日水曜日

一人相撲 In The Train

私の不愉快な外観は、他人にステレオタイプ的な変質者のイメージを
喚起させるらしい。
今でこそもう慣れたものだが、若かれし頃は世の中の鏡全てを破壊したい
衝動に駆られ、鏡に映る自分の姿にシカトを決め込んだものである。

私は嫌というほどそんな自分を理解しているので、
満員電車に乗り合わせてしまった時の繊細な心配りには尋常ならざる
ものがある。
間違っても携帯電話を手に取らない。
例え母親からのメールを見ていようが傍から見れば間違いなく盗撮である。
腕はいつでも万歳状態で上に挙げ、武器は所持してないアピールをキープする。
どんなに体勢が悪かろうが決して腰は動かさない。
人一倍鼻息が荒いため、呼吸を極限まで抑えるので電車内では常に酸欠状態
で昏倒寸前である。

しかし、そこまで完璧な防御態勢を敷いても私に冷たい視線を投げかけてくる
女性がいる。ある時困った私は傍らに少女がいるのを発見し、
出来る限りの変質者顔でその少女をじっと見詰めた。
「成熟した女性には興味ないよ」偽装だ。
鼻息抑制を解除し、これでもかっていうくらい鼻息を放出する。
女性はさらに冷たく私を蔑視した後、二度と私を見ることは無かった。

勝負に負けたが試合には勝った、ということであろう。
いや勝ったのか?そもそもこれは何の闘いなんだ?
その答えを私は敢えて出そうととは思わない。
世の中には知らない勇気というものが多分ある。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

その気持、すごく分かります…
この不毛な闘いいつまで続くんですかね…